妖精の心を貴方に

「たっだいま〜!奈津ちゃんとね……」

寝てたと言おうとしたんだと思うけど、奈津のお母さんらしき人が、私達の様子を見て、片手に持っていた買い物袋を落とした。

「か、母さん!」

「えっと…」

どうしよう、固まってるよ。

「な、奈津その子は…?」

「えっと…」

私達は、顔を見合わせるけど、奈津もなんて言っていいか分からないみたい。

「もしかして、奈津の“彼女”かしら」

「は?」

彼女って言葉を聞いた私は、一気に頬を熱くする。

「母さん何言ってんだよ!」

「だって、彼女以外ありえないでしょ。そんな様子じゃ」

お母さんに言われて気づいた奈津は、私から手を離すと私から離れる。