妖精の心を貴方に

「俺なんか変な事言ったか?」

「え!ううん、な、何も変な事言ってないよ」

これは、助かったと思うべきなのかな?

とりあえず、美術部内でのことは聞かれずに済んだからいいかな?

「俺はさ…」

私は奈津に視線を戻すと、奈津の顔が赤い事に気づいた。

「俺はさ、正直嬉しかったよさっきの言葉」

「さっきの言葉?」

「俺をモデルにして描いていたこと、それはつまりずっと俺の事見ててくれたって事だろ?」

「う、うん」

ずっと美術室の中から見ていた、奈津がサッカーを楽しそうにプレイしているところを。

「前のサッカーの試合でも、お前は俺の事をずっと見ててくれた」

「うん…」

心臓の鼓動が早くなっていく。

「だから、これから先も俺だけを見ててほしい」

「う、うん……え?」

今奈津…、俺だけをって。

「俺は…」

奈津の顔がどんどん近づいてくる。