妖精の心を貴方に

「あの絵か…、望美覚えてるか?望美が俺に絆創膏くれた日のこと」

「あっ、うん覚えてるよ」

あの日は、ルルが生まれた日でもあり、奈津に初めて話しかけられた日。

忘れるはずがない。

「あの日さ、俺はグランドで自主練してたんだ、その時にその破れた絵の一部が俺の顔を覆ってさ、そのせいで見事に転んで」

「そ、そうなの……」

やばい!私ったら何てことを!

あの絵を破ったばっかりに、奈津に怪我までさせちゃうなんて。

(はぁ…、私何やってるんだろ…)

沈んだ私の姿を見た奈津は、私の側まで来ると私の手を掴んだ。

「えっ!な、奈津!?!!」

「あの絵…、望美が描いたんだろ?」

「な、何でそんな事思うの?」

思わず視線を反らしてしまう。

だって、気づけば奈津の顔が直ぐ近くにあるんだもん。