妖精の心を貴方に

【奈津】

「ん………」

体が熱い…。

「今何時だ?」

ベッド近くの時計に目をやると、午後三時を指していた。

「………こんな時間まで寝てたのかよ」

風邪で寝込んで三日目、熱が下がることがないせいで、学校にも行けない。

「…。あいつにも会えない……」

教室で倒れてからの記憶は、俺にはない。

目が覚めた時、俺は保健室で寝ていて、隣には母さんがいた。

「ハヤテも…居ないな」

一度目をつぶり、天井を見つめる。

「三日目会えないだけで…、こんな寂しい気持ちになるのかよ…」

俺はまた気づいた、俺はいつも望美の笑顔を見て元気をもらっていた。

望美と居ると楽しくて、ずっと側に居たいと思った。

「…はぁ」

今会いたいなんて、恥ずかし……。