妖精の心を貴方に

「な、なるほど」

「それに、私のこの姿は望美が望んだ姿なのじゃ」

「えっ、私が?」

「さっきも言ったけど、私は望美の心そのものなのじゃ、望美が今一番やりたいこと、望んでいるものに私は姿を変えるのじゃ」

私の心?

私が望んでいること?

「そして今、望美が望んでいることは絵を描くことじゃ」

「絵を描くこと?」

「さっき望美は、大切に描いてきていた絵を破られて、絵なんて描かなければよかったと思った。しかし、望美は本当にそんな事を望んでいないはずじゃ」

「な、何も知らないくせに、そんな勝手なこと言わないでよ!ずっと前からそうなのよ、私の絵は誰からも認められたことなんてない。ずっと、酷い扱いされてきて……」

私は、泣かないように涙を堪えた。