「お、おい!……はぁ、悪いところ引いても文句言うなよな」

神無月君は、箱の中に手を入れて二枚紙をとった。

「えーと、先生俺十六番で奈津は十二番でお願いします」

「分かりました」

神無月君の席は、真ん中の左列前から三番目、奈津は左側の列の二列目の一番後ろだった。

「たく…、いい席にしておいたからな」

「……」

神無月君は、溜め息をつくと辞書を読み始めた。

「奈津の席は、いい席じゃな」

奈津机の上では、ハヤテがボールを頭に乗せて上に上げている。

「まさか、奈津にも妖精が生まれたなんてね」

「ほんとだよね、びっくりしたよ」

「そうだね…」

そんな事より私は、奈津のことが心配だった。

「ほら望美ちゃん、次だよ」

「う、うん」

史絵に言われ、教卓へと向かった。