「ほんと……、酷いですよ……」

半分に破り捨てられた絵を合わせてみる。

「絵のモデル、小早川君だったのに」

私がコンクールに出そうと思っていたのは、スポーツコンクールだった。

この美術室からは、よくグランドが見えて、野球部やサッカー部の人たちが練習している姿も、はっきりと見ることが出来る。

私は、知らず知らずのうちに小早川君をモデルにして絵を描いていた。

それがきっかけで、「ああ、自分は小早川君が好きなんだ」と思うようになった。

「もう、本当に嫌だ!」

私は、その場に座り込んで小さく泣き始めた。

「やっぱり、もう絵を描くのは辛いよ……」

私は、手に持っていた自分の絵を更に半分に破り、美術室の中から外に向かって投げ捨てた。