妖精の心を貴方に

【奈津】

「おーい、奈津。キャプテンが控室に集合だってさ」

「分かった。今行く」

外でリフティングしていた俺は、玲緒に呼ばれ控室へと戻った。

「よし、集まったな」

恭也先輩は、部員の顔をじっくりと見回した。

「今日は大切な練習試合だ、気合い入れていくぞ!」

「おおおっ!!」

恭也先輩の声に続いて、俺たちも気合の声を上げた。

「今日の楓中のサッカー部には、特に気をつけないといけない奴がいる」

「気をつけないといけない相手ってのは?」

「背番号は十。奈津、お前と同じエースストライカーだ」

「俺と同じ……」

その言葉を聞いて、俺の体が震えた。

それは、緊張やプレッシャーから来るものではない。

ワクワクしているから、俺の体が震えたんだ。

「そいつの名前は、大國聖夜」

大國聖夜?

どこかで聞いたことがあるような?