妖精の心を貴方に

何で分かったの?!

「やるねっ、望美!私も翔に持って来ようとしたんだけど……」

「料理苦手……だからね」

「うん……」

深く沈む史絵を見て、何て言ったら良いのか分からなかった。

私だって奈々美さんに手伝ってもらったし、一人じゃ最後まで作れなかったと思う。

「大丈夫だよ、史絵。私だってそんなに得意じゃないし」

「そうだっ!その前に、お弁当渡しに行かなくちゃじゃんっ!」

慰めようとした時、勢い良く立ち上がった史絵に驚く。

「そうだよ!早く行かないと時間なくなっちゃうよ!」

急かすように晶が言ってくる物だから、気持ちまで慌ててきてしまう。

『まったく、望美はトロイのじゃ』

一番言われたくない人にそんな事を言われ、一瞬殺意がわいた。

「じゃあ、奈津に渡してくるね」

みんなに手を振り、私は奈津の居る控室へと向かった。

階段を下りて通路へと出ると、そこにはたくさんの女の子たちが揃っていた。

やっぱり、サッカーの試合だからファンクラブの子たちの人数が半端なかった。

「ああ〜、早く始まらないかしら〜?」

「奈津様のプレイを生で見れるなんて」

どうやら奈津のファンの子は、うちの学校だけではないようだ。