「ちょっとっ!そっちが先に声かけて来たんじゃないか!名前くらい名乗ったらどうなの?」

晶が怒声まじりの声で男の子に言う。

『やめろ、晶』

「何で止めるのさ、アカツキ!」

『あの男みたいなガキは、関わらない方が良いんだよ。それぐらい学習しとけ』

それはつまり、よくあるナンパというものですか?

「さっき、私の情報をどうするのかと聞きましたよね?」

「ああ、そうだけど」

「見ず知らずのあなたに、私たちが応える義務はありません。先を急いでいるので失礼します」

沙弥佳はそう言うと、男の子の隣を通り過ぎた。

私も男の子の隣を通り過ぎようとした時、ふいに男の子が呟いた。

「大國聖夜(おおぐにせいや)」

「……えっ?」

男の子の名前を聞いて、私は思わず振り返ってしまった。

「大國聖夜だ、覚えておけよ」

男の子は、そう言うと私の傍に来る。