【奈津】

「あっちはあっちで、盛り上がっているみたいだな」

「望美も楽しそうで良かったよ」

「奈津、さっきから望美さんの方ばかり見ていただろ」

「な、なわけないだろ。変な事言うな玲緒」

玲緒の言った事は図星だった。

さっきから、望美の姿を目で追っている。

一度俺の視線に気づいたのか、望美は軽くこちらに視線を向けた。

けど、俺と視線があうと直ぐに絛達の方へも視線を戻した。

「本当に鈍感な奴だな」

「は?何が」

「別に、そのうち分かるだろ」

玲緒は、そう言うと本へと視線を落とした。