「望美の好きな人はーー」

「さ、沙弥佳、言わないで!」

私は、慌てて沙弥佳の口を抑えた

「むむっ!」

「どうしたの望美?教えて下さい?」

「む、無理、恥ずかしくて無理だから!また、今度話すからそれでいいでしょ!」

顔を真っ赤にさせて言う、私の姿を見た佳絵羅お姉ちゃんは、優しく笑ってから言った。

「ふふっ、分かりました。また今度、じっくり聞かせてもらいます」

「う、うん……。えっ、じっくり?」

すると、次の授業が始まるチャイムが鳴った。

「ほらほら、みなさん席についてください」

「う、うん」

じっくりって、どういう意味なのかな?

佳絵羅お姉ちゃんは黒板のある方を見ながら、凄く嬉しそうな表情を浮かべていた。