妖精の心を貴方に

「やっぱり、色々な妖精が居るんだね」

そう思いながら奈津の方を見ると、奈津は私たちの方向へと視線を向けていた。

「奈津がこっち見てる」

でもその視線は、私に向けられている感じがした。

「き、気のせいだよね?」

奈津が私の事を見ているはずなんかない。

きっと、この中の誰かを見ていたのかもしれない。

もしかして、佳絵羅お姉ちゃんかな?

「そ、そういえばさ、佳絵羅お姉ちゃん」

「どうしたの、望美?」

「佳絵羅お姉ちゃんはさ、好きな人とか居るの?」

私の質問に黙る佳絵羅お姉ちゃん。

だけど、その質問の答えを待つように、周りの男の子たちが聞き耳を立てていた。

「それがですね……」

やっぱり、好きな人居るんだね。

奈津、だったりするのかな?

胸が不安でいっぱいになっていく中、私は佳絵羅お姉ちゃんの返事を待った。