妖精の心を貴方に

「この展開、まずくない」・

「ふ、史絵は?」

史絵に助けを求めようとしたけど、史絵はさっきから夜城君とイチャイチャしていた。

だから、コウヤとアカツキが今にも喧嘩を始めそうなことにも、気がついていないようだ。

「あそこだけ、周りのオーラと違う」

「花が咲いてますね」

咲楽は、集中して本を読んでいるため、止める気がなさそうだった。

肩の上では、同じくクレオが小さな本を読んでいる。

『こっのおお!』

『そんなんじゃ、一発も当たらないぞ』

『頭が良いからって、調子に乗ってんじゃねえぞ!』

コウヤは、無我夢中でアカツキに殴りかかっているけど、全然当たらなかった。

『はあ……。いい加減にしろ!』

アカツキは、胸ポケットから三色のチョークを取り出し、コウヤめがけて勢いよく飛ばした。

『おっと』

しかし、コウヤもそれを読んでいたのか、飛んできた三色のチョークを簡単に避けた。

『ふん、同じ手に引っかかるかよ!』

コウヤは、そう言うとまたアカツキに殴りかかった。

その時、アカツキが飛ばしたチョークは、クレオのところへと飛んで行っており、三色のチョークはクレオが読んでいた本に勢い良くぶつかった。

『っ!!!』

チョークが勢いよくぶつかってしまったせいで、本に凹みができてしまった。