【奈津】

「どうやら、もう一人の転校生は、望美さんと知り合いだったみたいだな」

「そうだな」

でも、何で同い年なのに望美は絛の事を『お姉ちゃん』なんて呼ぶんだ?

「どうした、奈津?二人の事が気になるのか?」

「べ、別にそうじゃねえよ」

俺は、少し赤くなった顔を玲緒に見られないよう、前へと向き直った。

望美が絛とどういう関係かなんて、俺には関係のないことだ。

ただ、頬の湿布のことをちゃんと誤魔化せたのかが心配なだけで……。

でも、俺の中には望美の事を知りたがっている自分がいた。

どうして、そんなことを思ったのか分からなかったけど。

授業が終わった後、望美たちの近くには、野々原・柳原・絛の三人が集まっていた。

「なぁ玲緒。お前の彼女、こっちに来るより最初にあっちに行ったけど」

「別に良いさ、照れてるだけなんだ。それに、帰ったらまた一緒になる」

「帰ったらまた一緒になる?どういうことだよ」

「なんだ言わせたいのか?」

別に聞きたくわないけど、何か玲緒が言いたそうに見えるから。

「……聞きたいね」

とりあえずそう答えた。