妖精の心を貴方に

「次の人、どうぞ」

先生の言葉を聞いた俺は、表情を引きつらせた。

今から挨拶しようとしている奴が、俺が一番会いたくなかった奴だ。

この後、絶対来る!

「こんにちは、柳原史絵(やなぎはらふみえ)だよ!よろしくねっ」

柳原史絵、こいつは翔の彼女でありながら。

「えーと……!あっ居た〜!」

「げっ!」

柳原は、俺の姿を見つけると俺のところへと走り寄ってきた。

「奈津く〜ん!久しぶり〜」

「うわぁ!」

突然、柳原に抱きつかれた。

「や、やめろ柳原!翔にまた怒られるぞ!」

「良いも〜ん。翔は、かっこいいから怒られてもへっちゃらだも〜ん」

そうなんだよ……。

こいつは翔の彼女でありながら、極度のイケメン好きなんだ。

「あの、柳原さん戻ってください」

「え〜!」

頬を膨らませて先生を見返す姿に、男子共の歓声が上がった。