妖精の心を貴方に

「咲楽は、俺と同じく本好きなんだ。だから、教室の中にある本棚見てるんだろな」

「そ、そうなのか?」

確かに、玲緒の彼女だな。

「野々原さんの席は、夏村さんの隣よ」

「はい」

野々原は、軽く頷くと席へと向かった。

「やあ、咲楽」

玲緒が、小さな声で野々原の名前を呼ぶ。

「……」

野々原は、玲緒の方を見てから夏村の隣に座った。

「お前、無視されたな」

「いや、無視はされていない。照れているだけだ」

そんなことはないだろと思いつつ、野々原の方を見ると、玲緒の言うとおり微かに頬に赤みがさしていた。

「ほ、ほんとだ……」

もしかして、照れ屋なのか?