妖精の心を貴方に

「先生!転校生って女の子ですか?」

一人の男子が、金村先生にそう質問する。

「それ、聞くところかよ……」

俺は聞いても、誰が来るか分かってるし、どうでも良かった。

……待てよ。

そういえば、一人だけ知らない。

玲緒と翔の彼女たち以外にもう一人の子はーー

「それは、もちろん女の子ですよ」

「おっしゃー!」

男子たちの中で歓声が上がる。

それを聞いた女子たちは、男じゃないと知った瞬間、一気にテンションが下がった。

「馬鹿かこいつら」

「まあ、そう言うな。もしかしたら、もう一人の子が気になりだしたりするかもしれないぞ?」

隣の席で玲緒がそう言う。

「ありえね、玲緒も知ってるだろ?俺は、好きになった女子は居ないって」

「自慢げに言わなくていいが、今はどうかな?」

「それ、どういう意味だ?」

目を細めて玲緒に聞く。

「それは、自分で考えないと意味ないぞ」

「……はいはい」