「失礼しまーす」

奈津に手を引かれながら、私たちは保健室へとやってきた。

「先生、湿布貰いに来たんですけど…。って、あれ?」

保健室の中を覗いてみると、先生の姿は見当たらなかった。

「先生居ないのか」

すると、扉に何か貼り紙がしてあるのに気がついた私は、それを読み上げた。

「先生は出張のため居ません。用のある方は、他の先生方を呼んでください」

という内容だった。

「まじか」

「先生、出張中なんだね」

それを知った私は、少し安心した。

先生が居ないなら、頬のことを詳しく聞かれる心配もないから。

「仕方ね。望美は椅子に座ってろよ、俺が湿布探すから」

「う、うん」

私は、近くにあった椅子に座った。