「あいつ、何考えてんだよ！」

俺は走りだし、望美の前に出て大形の拳を右手で掴んで止めた。

「っ！」

大形は、驚いた表情で俺を見ていた。

「大形、お前……」

望美に聞こえないように、大形を呼んだ。

「な、奈津様！」

俺は望美の方へとは振り返らず、そのまま大形を睨みつけていた。

「 なるほど、そういうことか。玲緒からその話を聞いた時、変だと思っていたけど」

俺は、大形の手を離した。

「 原因は、俺ではなくお前らだったわけだ」

「 な、奈津様、誤解です！私は、ただ莎々原さんの髪にゴミが付いていたから、取ってあげようとしてーー」

どんな誤解だ……。

「 ただゴミを取るだけなのに、何でそんなに力込めんの？」

俺は、更に大形を睨む。