妖精の心を貴方に

しばらく二人の様子を伺っていた時、大形が望美めがけて勢いよく左拳を振り下ろした。

「望美っ!」

望美はその場に倒れこんで、頬を手で抑えていた。

「こ、小姫!やり過ぎだよ!」

確かに、やり過ぎだ!

ここまでして何になるんだよ!

俺のためか?!

それとも自分のためか?!

どっちにしろ、俺は今すぐにでも大形を望美の代わりに殴ってやりたかった。

「もう我慢ならねっ!」

望美のところに駆け寄ろうとした時、望美は大形に言う。

「 じゃあ、今まで奈津に告白して子たちを、今の感じで脅していたんだね」

「は?」

その言葉を聞いて、動こうとした体が止まる。

「あいつらが、俺に告白してきていた女子を脅していた?」

そういえば、そんな噂があると玲緒や翔から聞いたことがあった。