「この県の中でも小さいが汚いので有名だった組だよ。若頭も組長も汚い奴だよ。

若頭が加藤で組長が宮下だ。

それが、この街と繋がってるのかもな。

組事務所に行ってみるか。」


山本さんはマスターに美味しかったまた来るよと言うと外に出た。


事務所の場所知ってるんですか?と聞くと知らないと答えて商店街に入り作業着と丈夫そうなブーツを買った。


靴屋の店主に丸山組に行きたいけど何処だったかなとズケズケと聞くと店主はこの商店街の外れだと簡単に答えた。


皆が当たり前に知ってるようだ。


狭い街だからだろう。


商店会を二人で歩きながらヤクザの事務所に行くなんて初めてなので多少ドキドキしたが、それほどでも無いのに自分自身驚いた。


ゲツジンとの戦いが僕を逞しくしたのだろう。


丸山組は商店街の外れに二階建ての事務所を構えていた。


ここもどうやら被害から逃れたようで二階建てに金の文字で丸山組と書かれていた。


金の文字が古びて所々剥げていたが、昭和のヤクザの事務所って感じがした。



下はガレージになっていて閉まっていた。


山本さんはズンズンと二階に上がるとドアをノックした。


チャイムが、壊れていたし電気の無駄遣いは出来ないので直さないのだろう。



ドアが少し開いて誰だとドスの聞いた声が聞いてきた。