今の状況は確かに辛いが、今回の事で変わった事によって手にした物も大きいのだろうと思えた。


前は日にちが過ぎるのを待ってるような生き方だったが今は違う。


短い間に人は変わるんだなと思った。


石を運んでいる時に木本さんのこっちかと言う声を林の中で聞いた。

その声が切迫した物だったので僕もそちらに走った。


木本さんが、林の中を走っていた。


何かありましたか?と聞くとまだ分からないと答えが返ってきたが、何かを探してるように林の中を木本さんが走った。


少し開けた場所に行くと二人で周りを見渡した。


その時木の上からゲツジンが降りてきた。


木本さんも僕も迂闊にも武器を持っていなかった。


この所ののんびりした空気に油断していたのだ。


木本さんが素早く動くとゲツジンとの距離を詰めた。


ゲツジンは僕より少し若く見えてジャージ姿に弓矢と双眼鏡を持っていた。


偵察に来ていたのか?


木本さんは距離を詰めるといきなり右のハイキックを出した。

ゲツジンはそれを腕で辛うじて防いだ。


ゲツジンが、ニヤリと笑ったように見えた。


まるで面白いやってやろうじゃないかという感じだった。


奇声を発すると前蹴りを木本さんに放ったがバックステップで避けられた。