前の僕なら三川君に同情したかも知れないが今はそういう気持ちになれなかった。


優しくなくなったのでは無く今の状況ではやれるべき事をやらないのなら振り落とされる。


サバイバルとはそういう事なのだと思ったし本来の人間とはそういうものではないのかとも思う。


もちろん、何らかの障害を抱えているなら助けなければならないが、健康な男が自分自身のわがままで、やるべき事を放棄するのは、まずいのだ。



三川君をある種の病気だと言う見方も出来るがそこまで許容範囲を広げる必要はないだろうと思った。


今宮君が悲しげにその様子を見ていた。


「さあ、三川君も少し休んで考えて今は混乱してるだろうけど、基本的に私も山本さんの考えに賛成よ。だけど、もう少しだけ時間をあげてよ。それと三川君さあ今宮君へのあの態度は、駄目だよ。」


樋口さんがそう言うと三川君を連れて中に入って行った。


今から急に追い出す訳にも行かないので樋口さんの処置は正しかったが、三川君は変わらないだろうと思えた。