千花と付き合えていたら、俺も瑞希ぐらい分かりやすかっただろう。



ベタ惚れだから。



「先行ってる」



それだけ声をかけて、部屋を出る。



千花が結婚したら、きっと俺は誰にも恋をすることはないと思う。



恋愛のふた文字から遠ざかって。



友情だけで人生終えるんだろうな。




「ふっ」



そう思うと、自分がどれだけ千花にベタ惚れなのか改めて実感する。



好きすぎてどうしようもないって、このことだ。



小5からの片思いだったら……6年?



かなり長い間片思いしてたんだな。



もうそれも、終わりだけど。



そう思えるようになったってことは、少しは成長出来たんだろうか。



“大人”に近づくために、強くなれたんだろうか。



どれだけ頑張ったって。



俺と千花の8年の距離は、絶対に縮まってくれることはないけど……────。