唖然として突っ立っている衛兵が、国王マリクの令でようやく動き出し、アダーラを捕らえる。
その間も「母上! 母上!」と叫び続けるアスラを、駆けつけた医師が押しのけた。
ナズリは苦しんでいなかった。
ただ地面に横たわり、諦念を宿した瞳を宙に向けている。
アスラはそれを呆然と見ていた。
どこかで「ウモの毒だ。助からない」と言う医師の声が聞こえたが、その意味を理解することはできなかった。
頭が思考することを拒んでいた。
目の前に横たわるナズリをただ捉えていた視界で、ふいにナズリの唇がかすかに動いた。
「……アス、ラ…………」



