アルマクと幻夜の月



おてんばでとんでもなく男勝りな方だと聞いたことがあったけど、ぜんぜんそんなことないじゃないの。


(やっぱり人の口に戸は立てられないな)


アスラの人となりについては、すでに噂が広まっているようだ。

アスラにとっては全く構わないことだが。


広場に着いたアスラは用意された席について、目の前で繰り広げられる歌や踊りをぼんやりと眺めた。


熱心に見ているような顔をしながらも、アスラは腹の底から退屈だった。


王族に見せるために洗練された踊りや歌は、もちろん、それはそれは美しいものだ。

だが、アスラにはそれが作り物のように見えてつまらないのだ。

そんなものより、民が本当に楽しく、心よりの笑顔で作る歌や踊りの方がよっぽど美しい。