「馬鹿なおまえに教えてやろう。――私は魔人だ。いわゆる、ランプの魔人」
「ランプの、魔人? おとぎ話に出てくる、願いを叶えるという?」
「そうだ。ランプを手にした者に仕え、何でも一つ、願いを叶える」
ふうん、そうだったのか。
そう言いながら、アスラはイフリートに背を向けて歩き出していた。
「待て、どこへ行く」
呼び止めるイフリートを鬱陶しそうな顔で振り返って、アスラは言った。
「あたしは急いでるからもう行く。悪いけど、おまえには付き合いきれない」
こんなわけのわからない男より、早く本来の目的を果たしたかった。
水差しを売って金に換え、薬を――。



