「あたしの、もの……?」
まったく意味がわからない。
「突然現れて、主がどうとか、あたしのものだとか、使えとか……さっきから何言ってるんだよ。
っていうか、どこから湧いて出てきたんだよ、おまえ」
「そこから」
混乱したアスラに、イフリートはさも当然のことかのように、アスラの胸元を指差した。
つられてアスラは視線を下げる。その目に映ったのは――。
「水差し?」
大事に腕に抱えた水差しとイフリートを、アスラは交互に見る。
「どういうことだよ」
「どうもこうもない。そのままだ。そこから出てきた」
「水差しから?」
「水差しから」
大いに疑わしげなアスラに、大いに真面目な顔でイフリートは言う。