「そしたら急に父ちゃんの足元に生えていた水晶が、父ちゃんを串刺しにしたって、おっちゃんが……」
泣きながらマルダが言ったその言葉に、アスラは絶句した。
シンヤも険しい顔で、「ひでぇ……」とつぶやきを漏らす。
地面から生えていた水晶が突然ものすごい勢いで天井に届くまで伸びて、マルダの父を串刺しにした、と連れの男は言っていたという。
――なるほど、そんな芸当は魔法でしかできないだろう。
「なぁ、頼むよ、アスラ姉ちゃん。そこの兄ちゃんは魔人なんだろ? そこの兄ちゃんに頼んで、父ちゃんの仇を取ってよ!」
身を乗り出して懇願するマルダに、アスラは困ったように眉を下げる。
仇を取る。
それを引き受けることは、イフリートにその魔人を殺させることだ。
(イフリートに……そんな命令はできない)
この小さな子供に、そんな願いを抱かせたその魔人を許せない。
――けれど。
「ごめんな、マルダ。けれど、仇打ちをしてやることはできない」



