アルマクと幻夜の月




もちろん、町では見たことのない二人だった。

何者だ、と問うても、二人は答えない。


どうしてこんなところにいるんだ、迷ったのか、と問えば、青年が「出て行け」と言った。



出て行け。

ここはおまえたち人間が足を踏み入れていい場所じゃない。

出て行かなければ殺す。



なんだと、と、マルダの父は憤慨して青年に向かっていった。


彼は青年が水晶を独占しようとしているのだと思ったらしい。


マルダの父は勇気があり、正義感の強い男だった。


そこにある大量の巨大水晶を見て、

これだけの水晶があれば町全体がもっと豊かになれる、子供たちを働かせずに済むかもしれない、と本気で言うような男だった。


マルダの父の遺体を連れ帰った男がそう言っていたらしい。



だからこそ、それを独占しようとするような輩を許せなかったのだろう。


憤りもあらわに青年に向かっていくマルダの父に、青年はそのとき、ゆったりと腕を持ち上げて、右手をかざした。