(あいつがあたしに重ねているのは、ソロモン、なのか――?)
そう考えて、アスラはすぐに、そうとも限らない、と考えを打ち消した。
――思えば、イフリートの過去をアスラはほとんど知らないのだ。
知っているのは、彼の二千年前の主人がソロモン王で、ソロモン亡き後は魔人となり二千年を生きてきた、ということだけだ。
あまりに長くて想像することもできないその二千年の間だけでなく、彼が人間であった数十年のことも、アスラは一切知らない。
(聞けば、答えてくれるだろうか)
小さくため息をついたところで、店主に頼んでいたクナーファが運ばれてきて、歓声を上げたマルダにアスラは目を向けた。
「おいしそー!」
「足りなければ遠慮なく言えよ」
アスラが言うが、マルダはもうクナーファのことしか頭にないようだった。
「怪我させたくせに遠慮の欠片もねぇな」と、苦い顔で毒づくシンヤに、イフリートが小さく頷く。



