アルマクと幻夜の月




少年の丸い瞳がわずかに迷うように揺れたのを、アスラは見た。


「だから、あたしたちとしても、おまえのその話はすこし気になる。

詳しく聞きたいんだが……そうだな、あたしたちの泊まっている宿が、この通りをまっすぐ行った先にあるから、そこまで来ないか?

すぐ近くだし、一階は飯屋だから、好きなものを食わしてやるよ」



どうかな、と、アスラが首を傾げると、少年は虚を突かれたような呆けた顔でアスラを見上げた。



「宿屋に泊まってるのか……? 水晶窟に住んでいるんじゃないの?」



思わぬ言葉に、今度はアスラが呆け顔をする番になった。



「水晶窟? 魔人が水晶窟に住んでるのか?……おまえ、その魔人に父親を殺されたのか?」



アスラが問うと、少年は小さく頷いた。



「みんな事故だって言ってるけど、……あの事故は絶対、魔人のせいなんだ。

なぁ、あんた、父ちゃんを殺したやつじゃないってんなら、俺の代わりに水晶窟の魔人をやっつけてよ!」