アルマクと幻夜の月




「心配しなくても捕まったりしないから、遠慮なく役人を呼んでくれ。あんたが疑われて罰せられるほうが寝覚めが悪い」


「捕まらないって……なにを根拠に」


「それは秘密」


にんまり笑ってみせるアスラに、女は呆れたような顔をした。


「まぁ、……そうね、後腐れなく仕事をすっぽかせる上に儲けられるなら、わたしに損はないわね」


「じゃあ、契約成立?」


「いいわ。あなたの頼み、受けてあげる。ただし前払いでね」


女の言葉に、アスラは笑みを深くした。

「イフリート」と背後に呼びかけると、イフリートは荷から出してあった小さな麻袋をアスラに手渡す。


アスラはそれを女に手渡して、「足りなかったら言ってくれ」と言った。


女は袋を覗き込んで、大きく目を見張る。


「とんでもない。むしろ多すぎるくらい」


 と、遠慮するようなことを言いながらも、女はちゃっかり麻袋を仕舞いこんだ。