無口なイフリートが喋ったのに驚いたのか、シンヤは口をつぐむ。
「シンヤ、おまえがあのまま領主の屋敷の門番に捕まっていれば殺されていた。それを救ったのは私たちだ」
「だから恩を返せって? 頼んでもねぇのに、冗談じゃな……」
「いいや、そうではない」
シンヤの言葉を遮り、イフリートが言った。
「おまえを救ったことで、私たちも共犯になってしまった。明日から私たちもお尋ね者になるだろうな。私たちとしてもそれは困る。そこで、だ。一つだけ、私たちがおまえの仲間ではないと示す方法がある。何だと思う」
そこでようやくイフリートの意図が見えてきて、アスラは苦笑を浮かべた。
そして、怪訝な顔で首をかしげるシンヤの代わりに答える。
「――シンヤ、おまえを領主に売ること、だよ」
シンヤの顔がみるみる青くなっていくのが、薄闇の中でもわかった。
「……おい、嘘だろ? んな汚ぇ真似すんのかよ」



