アルマクと幻夜の月




「無理だ。おまえが他言しなくたって、どのみちアジトの場所は変えるだろうし、俺が除名されたのは、ヘマやったのがこれで三度目だからだ。むしろ二度目のときに除名されなかっただけ、情けをかけてもらってたんだよ」


そう言われてしまえば、アスラはもう口をつぐむしかない。

気まずい空気のなか三人とも黙って歩いていたが、しばらく行ったところで、ふいにシンヤが足を止めた。


「シンヤ? どうした?」


苦しげな顔ののシンヤに尋ねても、答えは返ってこない。

アスラはシンヤの視線の先を追い、そして大きく目を見開いた。


「……あれ、は」


道の先に見えるのは、遠目にも大きく立派な屋敷だ。

いつのまにか貴族の邸宅が集まる界隈に入っていたアスラたちだが、周りのどの屋敷よりも大きく、威圧感がある。

それは、おそらくは領主の館なのだろう。