アルマクと幻夜の月




盾を失ったら刺されるしかない。


王宮でのアスラの扱いは、確実に今よりひどくなる。

アスラを守るものはもう何もないのだ。


アスラはゆっくりと顔を上げ、絶望に曇る目で辺りを見回した。


すでに牢に連れて行かれたのか、捕らえられたはずのアダーラの姿はない。

当惑したような民の顔。

国王マリクは付き人に守られながら輿に乗るところだった。


いつの間にかアスラの隣にいたルトが、「姫様も、早く参りましょう」と言う。


「どこへ行くんだ」


「王宮に帰るんです。これ以上ここにいても危険ですし、……ナズリ様を弔う準備をしなくては」


心臓が大きく跳ねる。

――王宮へ帰る。

その一言に、アスラは全身に鳥肌の立つのを感じた。