この痣、前髪で隠してたつもりなのに……。 「転んでぶつけただけ……」 この額の痣は、兄に殴られた時、テーブルにぶつけてできたもの。 「ふ―ん、そう」 四ノ宮くんは納得してないような返事をした。 「…私、帰るっ!」 間が持たなくて、広げていた問題集を慌てカバンにしまった。 「じゃあね、四ノ宮くん」 逃げるように、図書室を出た。