「へぇー……それで。今日がそのダブルデートの日っていうわけかぁ」

放課後、最後の授業が終わってすぐ。

机の上に鏡を立て、珍しくメイクするあたしの姿を見ながら瞳がつぶやく。


圭太くんと石丸くんと、その彼女である大西さんと。放課後にダブルデートをする約束をして数日。

中間テストの期間だとかで、サッカー部の練習は休みらしく、それは思ったよりも早く実現することになった。


「なかなか凄いこと言い出すよね、花音も」

冷やかすようにニヤリと笑いながら言う瞳。

あたしは頰に軽くチークを乗せながら、「そう?」と簡単に返事する。


圭太くんと石丸くんが親友なんだから、ダブルデートすること自体は別におかしなことじゃない。

ただ、まぁ……純粋な気持ちじゃないことは認めるけど。


クルンと上がったまつ毛を鏡で確認して、パチパチと瞬きする。

うん、完璧。
自分で言うのも何だけど、そこらへんのアイドルよりずっと可愛いと思う。

もちろん、石丸くんの彼女の大西さんよりも。