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「やっぱり。来ると思ってた」
クスクスと苦笑するのは――圭太くん。
「……」
あたしは冷ややかな視線を彼に向けた後、回れ右をする。
「あー、待ってって。せっかく来たんじゃん」
パシッと腕を掴んで引き止められて、圭太くんを睨みつける。
「そんな怖い顔すんなって」
「誰のせいよ」
「え、俺?」
クスクスとからかうように笑う、その態度にため息を吐かずにはいられない。
今、あたしが立っている場所は、圭太くん達の通う学校の敷地内。
昨日メッセージをもらってから、どうしようかすごく悩んだ。
行ったところで気まずいだけで、石丸くんとの関係が何も変わらないのは分かってる。
こうして圭太くんにからかわれるのも、何となく予想は出来ていた。
だけど……。
「来いって言ったのは圭太くんでしょ」
悩みに悩んで考えて、決心したのはついさっき。
不審者扱いも覚悟して、ひとりで他校に乗り込んだのは、来いって言ったのが圭太くんだったから。



