ハチミツみたいな恋じゃなくても。


帰り際も瞳がいたから、バタバタしちゃって「じゃあね」と、軽く挨拶することしか出来なかった。

今さらだけど、ちゃんと家に帰ったかな……。


そんなことを考えながら、スマホの画面を点けた。

すると表示されたのは、今正に考えていた人からのLINEメッセージだった。


「え……」

送られていた文書を読んで、あたしは思わず声を上げる。

「ん?なに、どうしたの?」

「いや、あの……これ」

首を傾げてこっちを見る瞳に、あたしは迷いながらもそのメッセージを見せた。


「……どうするの?」

あたしが瞳でも多分同じ言葉を返したと思う。

「どうするも何も……ね」

普通ならきっと行かない。
今日あったことがことだし、どんな顔をして会えばいいのか分からない。

でも……。


「迷ってる顔してるよ」

「……」

瞳の指摘は正しくて、上手く返事が出来なかった。



【お疲れ。朝日のこと諦めるつもりないならさ、明日も来なよ。俺が呼んだことにするから】


それが圭太くんから送られていたメッセージ。


彼が何を考えているのか分からない。
行ったところで、何かが変わるとも思わない。

だけど……

胸の奥に込み上げる感情。


二度もフラれたっていうのに重症すぎて、自分で自分を笑うしかなかった。