「だから、謝らなくていいって。瞳が悪いわけじゃないじゃん」
石丸くんに余計なことを喋ってくれた、あの男には心底ムカついている。
だけど、石丸くんにフラれたのは仕方のないことで、瞳が悪いなんてこれっぽっちも思っていない。
「でもさ……」
「あーもう!そんなイジイジするんなら帰ってくれる?」
眉を下げたままの瞳に対して、あたしは強く言い放ち、目の前のお茶をグイッと飲んだ。
すると、一瞬ポカンとした瞳は、さっきまで下げていたはずの眉をキュッと上げて。
「そういう言い方しなくてもいいじゃん!こっちは悪いと思って謝ってるのにさぁ!……でも、ありがとう」
やっと小さく笑ってくれた。
「花音が思ったより元気そうで安心した。もしかして、あの送ってくれた男子と何かあった?」
「えっ……」
思いがけない問いかけに、ふと思い出したのは、『俺と付き合う?』なんて言われたこと。
……いや、あんなの関係ないし。
でも確かに、思ったより大丈夫。



