驚きのあまりベンチから立ち上がる。

「なっ、何で!?」

「いいかげん俺も帰りたいんだけど」

いや答えになってないし!……っていうか、

「帰りたいなら帰ればいいじゃない!」

むしろ帰ってよ!と、あたしは声を張り上げる。すると、


「そういうわけにはいかないじゃん」


圭太くんはゆっくりと体を起こし、回り込んでベンチにストンと座った。


もしかして……。

「全部、聞いてたの……?」

恐る恐る訊ねてみると、

「聞いてたっていうか、聞こえたんだけど」

圭太くんの返事は思った通りで「うっ」と、心苦しさが声に出そうになった。


つまりは告白も、そしてフられたことも知ってるってことだよね……。

恥ずかしくて、らしくないけど顔が赤くなる。

でも、圭太くんならいいかって、そんな風にも思った。

それは――。


「まさかここまで一緒になるとは思わなかった」

「ん?」

開き直って、圭太くんの隣に座り直すあたし。


「中学の頃と」


ひと言付け足すと、圭太くんも理解したようで「あぁ……」と頷いた。