「っ……ひっく……」

拭っても拭っても、ポロポロと溢れる涙。


綺麗なオレンジ色だった空は、いつの間にか夜の黒が広がっていて。

あたしの心の中みたいにぐちゃぐちゃで、決して綺麗とは言えない色をしている。


『少し一人にさせてもらっていい?』

そう言ったあたしに石丸くんは、

『あんまり遅くならないようにな』

と、言ってくれたけど……


数十分経った今も、あたしはベンチから立ち上がれずにいる。


自分がみっともなくて情けない。

でも、零れ落ちる涙を無理に止めようとも思わない。


どうせあたしを知っている人なんてここにはいないし、変に噂になって困ることもない。

だったらもう泣いて泣いてスッキリしてから、家へ帰ろうと思った。

……なのに。



「……一体いつまで泣いてんの」


「っ!?」


突然すぐ傍から聞こえた声。

びっくりして振り返ると、あたしが座るすぐ横の背もたれに両腕をついて、怠そうにする圭太くんがいた。