じわじわと滲んでいく視界。
「はち、や……」
「……ごめんね」
石丸くんの驚いて困った表情はあの時と同じ。
キリキリと胸の奥が痛んで、見ていられなくて、あたしは俯いた。
そして、
「あの……」
「石丸くんの気持ちはわかってるよ」
言いかけた彼の言葉を遮った。
「かわいい彼女、いるんだもんね……。困らせちゃって、本当ごめんね」
かわいいなんて思ってないくせに。
あたしは震える声を絞り出し、何とか気丈に振る舞おうと笑顔を作る。
ここでボロボロと泣き崩れてしまったら、それこそ呆れられてしまいそうだから……。
「……いや、こっちこそ、ごめん」
静かに降ってきた石丸くんの言葉が、突き刺さるようだった。
だけど、あたしはふるふると首を横に振る。
好きで好きで仕方なかった。
3年経った今も、その想いは進行形。
本当は『ごめん』なんて嫌だよ……。
どうしてあたしじゃいけないの……?
言いたい……けど、言えない。
あたしは同じ相手に、
人生2度目の失恋をした――。



