ハチミツみたいな恋じゃなくても。


思い返せば、今も胸がドキドキする。

それから……

石丸くんの返事を思い出して、泣きそうになる。


「……」

戸惑う表情を浮かべる石丸くん。


ここまで言ったら、あたしが何を言おうとしてるかわかっちゃってるよね。

ううん、本当はわかっていたんでしょう?

……気付かないフリ、しないでよ。


「嘘をついたのは、石丸くんとの接点が欲しかったから」


会いに来る口実が欲しかった。

会いたかった……ただ、それだけ。


こんなことを今伝えても、勝算なんてないのはわかっている。

それでも、伝えずにはいられなかった。

早く知って欲しかった。



「ずっとずっと、好きだった」



はっきりとフラれても。

中学を卒業して、高校生になっても。

会うことがなくなって、他に彼氏が出来ても。


――ずっとずっと、好きだった。

石丸くんのことが、忘れられなかった。