ハチミツみたいな恋じゃなくても。


何人かと付き合ったこともあるけど、みんなあたしの機嫌を取ることばかりで……くだらない。

一度そう思ったら、もう男なんてどうでも良くなった。

だから勉強に専念するって決めたのに。


まんまと高校名に釣られたあたし。

バカだなぁって思う。

あの人は、こんなくだらないことに参加するような人じゃないのに。

少し考えたら、分かることなのに。


それでも……。


隣に座る男子の制服に目を向け、思う。

あの人も同じ、このブレザーを着ているんだなって。


あれから……丸2年。

少し大人っぽく見た目も変わっているんだろうか。


……会いたい。



「……さん? 蜂谷さん?」

「えっ」


耳に入って来た声に、ハッと顔を上げると、不思議そうに首を傾げた男子。


「あっ、えとっ、ごめんなさい!」


やばい、制服ガン見しちゃってた。

慌てたあたしはそのまま立ち上がって、「お手洗い、行って来る」と、部屋からひとり飛び出した。