ハチミツみたいな恋じゃなくても。


***


「じゃあ全部嘘で、騙してたってこと?」

「……ごめんなさい」

石丸くんの問いかけに、力なく頷く。


夕焼けに染まるグラウンド。

あたしが石丸くんに全てを説明出来たのは、サッカー部の練習が終わってからだった。


『石丸くんと二人で話しさせて』

そう圭太くんに伝えて、『わかった』と了承を得たものの、その後すぐに顧問の先生が通りかかって。

結局そのまま二人は練習に行くことになってしまった。

だから……

練習後の誰もいないグラウンドの隅、あたしはベンチに腰掛けて、目の前に立つ石丸くんに全てを話した。


「そっか……」

ため息にも似た石丸くんの声が突き刺さる。

呆れられていることは間違いなくて……。


せめて、せめてあの時リョウくんに会わず、自分自身から嘘を打ち明けられていたら。

少しは印象が変わっていたんじゃないかって、思わずにはいられない。


あたしはなかなか顔を上げられなくて、お互い黙ったままの時間が少し続いた。

そんな沈黙を破ったのは、石丸くん。