ハチミツみたいな恋じゃなくても。


何とも言えない気まずい空気が、あたしと石丸くんの間に流れる。

真っ直ぐ向けられた真剣な眼差しが苦しくて、目を逸らしてしまいたい。

だけど、それは出来なくて……。


あたしが口を開こうとした瞬間。


「朝日!もう来れたんだ……って、何?どうしたの」


あたし達に駆け寄ってきたのは、女の子に呼ばれていた圭太くんだった。


あたしと石丸くんとリョウくん。
3人の間のただならぬ空気を感じてか、キョロキョロと見渡す。

すると、


「じゃあ、無関係な俺はこの辺で」

リョウくんは満足そうな笑顔を浮かべ、ヒラヒラと手を振りながら背中を向けた。


――ムカつく。

唇を噛んでリョウくんを睨みつける。
そんなあたしを見つめる圭太くん。

不意に視線が重なって、あたしはパッと目を逸らした。


「……蜂谷」

説明を求める石丸くんが、あたしの名を呼ぶ。


わかってる、もう誤魔化せない。

いいじゃない。
どうせこれを言いに来たんだから。


あたしは自分自身に言い聞かせて、口を開いた。


「圭太くんごめん。ちょっと石丸くんと二人で話させて」