ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「あれ……?」

何だか聞き覚えのある声が後ろから聞こえて、あたしは足を止めた。

そして、振り返った瞬間――。


「やっぱりー!瞳ちゃんの友達じゃん!」


相手の顔を見て、ドキリとした。

『ヤバイ』って直感的に思った。


一歩、二歩とこっちに近付いてくるその人は、この前まで瞳と良い感じだった“リョウくん”だったから――。


「あれ、今日はひとり?こんな所で何してんの?」

ズボンのポケットに両手を突っ込んで、いかにもな様子で聞いてくるリョウくんに、あたしは思わず後ずさる。


何となく、嫌な予感がした。

普通に話しかけてくれている……けど、何だか目が怖い。


「えっと……」

何を話したらいいのか分からなくて、言葉を詰まらせる。すると、

「暇だったらさ、ちょっと付き合ってよ」

いきなり腕を掴まれて、

「っ、やめてっ!」

あたしは思いっきりその手を振り払った。